今回のスペイン入国一日目はマドリードから始まります。マドリードはスペインの首都ですね。この街の中心地にサン、イシドロ教会があります。この教会は日本人には最も馴染みのあるイエズス会が関与する教会でした。事実、教会が建てられた当初は、フランシスコ、ザビエルが守護神として祀られていた教会だったのです。後にイエズス会はマドリッドからの追放の憂き目に会い、サン、イシドロがこの教会とマドリードの守護神として今日に至っています。イシドロはマドリードに住む、貧しいけれど敬虔で信仰深い人物でした。数々の奇跡を起こしたが故に後、聖人に列席されました。日本人にとっても、とても因縁の深い教会でもあるのです。私たち(大野利可先生と私)の献笛はスペイン入国の最初にこの因縁の深い教会から始まりました前日の夕方教会で出会った神父さんに献笛の希望を伝えましたが、要領を得ず2日目の朝のミサに預かって偶々出会った主任神父の快諾を得て堂々の献笛です。前回の5年前と比較しても明らかにキリスト教を信じる人たちは減少していると思われるミサ模様でした。それは兎も角も、私たちは荘厳且つ穏やかな古式豊かなこの教会で吹いたのです。ミサが終わった信者さんの祈り続ける中、わずかの演奏時間でしたがとても嬉しい結果となりました。神父さんがたも、信者さん達も喜びと感動を沈黙の内に嬉しいゼスチャーで示してくれました。あるご婦人が近づいて一緒に写真撮りました。このご夫人の仕事は、妊娠中に亡くなった赤ちゃんの為に心身のケアーをするのが仕事だと伺いました。葬儀屋さんなのかも知れません?今朝もその追悼の祈りの為のミサ参加の様でしが、このささやかな献笛の音色が深く大きく導いてくれましたというご趣旨のお話に笛を吹く喜びがいや上にも広がったという次第です。気持ちの良い余韻の後、ピカソのゲルニカの鑑賞に行きました。いずれもそうなんでしょうが、特にこの作品は渾身中の渾身と言っても言い過ぎることはないと思います。ゲルニカの地名もさることながら、フランコ将軍やドイツ軍隊の強権的暴力の匂いが今も蘇って来ます。暗くて辛くてやるせない歴史です。世界があれ程の不戦を誓ったのに、何としたことでしょうか?関東大震災の後、寺田寅彦は「天災は忘れた頃にやって来る」の名言を残しましたが、昨今の様相は「戦争は忘れる間も無く繰り返す」と言った実状です。地球環境に至っては、その原因は人災によると言った話は冗談でも何でもなく、その通り、と誰もが納得の今日です。悲しい時代となりました。万物の霊長などと言って寝ぼけ続けていたこの霊長様は他の命も道連れに地獄の底まで連れて行く気なんでしょうか。余りにも傲慢です。なんとかなるでしょうか?