今日、遂に300キロを越えました。此処、カカベロスは、308キロ地点です。巡礼宿に着くのは、大体午後1時30分から2時くらいです。早く出て早く着く。これを守っています。そんな訳で、アルベルゲ(巡礼宿)では条件の良い場所が選べます。今日の巡礼宿は、二人一部屋と言う申し分の無い条件と思いきやさにあらず、大部屋の遠慮が無くなって返ってうるさいという反作用も出るのです。難しいものですね。珍現象も有ります。確か四日ほど前に遥かに追い抜いていった人にまた追いついたり、2、3時間前にぐったり疲れているのを追い越して、巡礼宿に着いたら、既にベッドインしていたという、長い巡礼なればこその出会いも有ります。荷物が重いので、既に決まりの巡礼宿に送ったり、途中で具合が悪くなったりして、予定していた、アルベルゲに車で到着と言うのもありそうです。一歩一歩、牛の歩みより遅く、寄り添うように歩みを進める老夫婦。サンチャゴまでは、遥か彼方、どんな思いの一歩でしょうか? それでも、追い抜きざまは、疲れと不安のうちにも、にっこり笑って、握手で別れます。もし、この老夫婦にまた、不思議な出会いが出来たなら、きっと、泣き出してしまことでしょう。今こうして書きながら、涙をこすっています。このアルベルゲで出会ったアルゼンチンの女性は、20数年前にサンチャゴ巡礼を強く思ったそうです。聞けば、お爺さんが何と、サンチャゴ出身で、二度と戻る事は無かったのです。どんな気持ちの一歩でしょうか?
思うように動かない体を引きずりながら、家族を、娘をおもいながらのやっぱり一歩でしょうか?
そう言えば、ほとんど相い前後で巡礼中の、ベルギー人のルーカスさんも、60歳のリタイア後の、サンチャゴ巡礼ですが、やはり、20数年前、フランスの巡礼地、モイサックへヴァカンスの行ったき、聖サン ジャック(ヤコブ)がGo Santiago ! と言ったから、と、牧師のようなもの静けさで、ポツリと言ったもんです。今、サンチャゴ巡礼中のペレグリノ(巡礼者)は少なく見積もっても、4、5千人はいるに違いありません。それぞれが、それぞれの目的と祈りを胸に秘めて、一歩一歩を確かめているのでしょうか?