保寧寺の歴史を記した小冊が、お盆には配布出来そうです。小冊のあとがきにも書きましたが、先住、熊田和尚の坊主としての純度の高さが今なお心に残ります。私が僧堂入門時、すでに保寧寺住職でしたが、なを摂心(集中坐禅週間)に参加され、その居ずまいの涼しさは、群を抜いておりました。あのようなお坊様にならねばと修行の励みとなっておりました。奇縁と申すほかなく、この寺の住職となって、最晩年の熊田和尚と寝食を共に致しましたが、身の処し方は油断なく、一生修行という言葉の具現者のような方でした。此の和尚の評価は、我々坊主仲間でも、在家のなかでも評価は両極端でまことに竹を割ったようにスッキリとした分かりやすい評価でした。去年の秋、スペインの巡礼、500キロの旅を終え、色々と思うこと、教えられることが在りましたが、十人十色といいます。巡礼の動機も千人いれば千人色です。それでもサンチアゴへの800キロへの道は、ひたすら歩くことによって、身も心も純化の道へまっしぐらです。初めてでも、何回でもその出会いは毎回毎回が鮮度高く感動です。相前後して出会う人たちとこんなにも嬉しく素直に喜びあえること、まさしく不思議三昧の世界です。ひとつの道に邁進する喜びは純化の道です。歳をとってよわってきても純度を失わない人生で在りたいですね。