和尚のつぶやき

巡礼  レイン ドロップ

ポルトマリン。出発時は薄くて僅かの霧雨だった。すぐにあがったので雨具はすぐに脱ぐ。小1時間も歩くと陽が登って照り始めた。結果的には終日曇りではあったが、日が照って暑くなるかなあと思い始めた頃、一粒のレインドロップが、通りがかった木の葉から落ちた。被っている帽子のひさしの前を庇にかかることなく音もなくスーと落ちた。くるぶしの一点が冷んやりとした。ぼうしの庇の前から落ちるレインドロップは、前に出た私の左足の内くるぶしと履いている靴下の間、僅かしか無い隙間に入ったのだ。なんとも不思議な感覚の冷たい何かがそっと滑り込む様な感じで、ちょっとの間はそれがレインドロップとは思わなかった。朝の僅かの朝露にも似た霧雨は朝の陽の光に照らされてすっかり乾き切っている。そんなものが落ちてくるとは思いもよらなかのだ。今思えばそれはその日の最後のレインドロップかも知れない。。宇宙の神秘の一端見た様に思った。「そんな世界を感じてくださいね」と囁きながら飛び込んで来たのでしょうか?歩くことが神秘なんですね。静かに、祈りの中を歩くことが。

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