ここ、ポルトマリンはサンジャンピエード ポーからとうに700キロは過ぎている。巡礼者は疲労の極限にある。疲れは、薄汚れたシャツからズボン、靴に至るまで薄汚れている。拭いきれない汗の匂いも勲章だ。歩く姿にも疲労の姿が在って途中組には羨ましい様な、チョット尊敬の対象だ。大体は膝に故障が会って一歩一歩が痛々しい。今日の朝、5時半。ご婦人が出発前の薄暗い食堂の一角で、何度も何度も使ったであろう汚れた包帯を両足の一本一本に丹念に巻いている。薄暗いのに実に見事だ。後わずかですよ。もうすぐですから。と心のうちで祈る私。近くのベッドで寝ていたご婦人も出発の支度はしたものの、さてどうするか、と思案の様子。何年か前 同じ様な思いを体験している私にとっても、痛みは人ごとではない。でもどうすることも出来ない。巡礼を辞めようとは思はなかったが何度も迷ったことはある。ただ祈るのみ。出発地サリアからポルトマリンの行程はは少々きつかった。リュックの荷物も思いがけなく応えた。策を講じて荷物を送ることにした。お陰で今日は楽々。
途中、韓国のご婦人を追い抜く時、手にロザリオを持って小さな声で祈りながらの巡礼。ロサリオは聖務日課の中で、諸聖人の名を連祷するための数珠の様なものです。信仰の確かさを確かめる巡礼の喜びが確かめられて嬉しいことを、翻訳機を使って、熱く語ってくれました。日本と韓国の未来に幸あれ。
今夜の宿泊宿に着く直前、3人揃って、程よい感覚を保って、歩きながら詩篇の一説ごとを唱えながらの前進です。インド人の聖地巡礼の五体投地を見る様でした。とても嬉しい瞬間です。何回もカミノ デ サンチアゴの巡礼には体験していますが、この様な正統派に出会うのは初めてです。心が洗われました。静かにチョット写真をと思ってレンズを向けたら、好相くずしてのこの写真です。別れたら、また、祈りの経行に戻っていました。何処から来られましたか?と尋ねたら、メキシコからと。やっぱし、明るいね。