保寧寺の歴史

当寺は東安山と号し、本尊に釈迦如来像を奉安する。元徳2年(1330年)に玉山徳旋によって、禅寺として開山されたという。天正19年(1591年)には、時の騎西城主松平康重から田畑一町歩の寄進を受けている。これは当寺の中興開山である南雄和尚に帰依してのことで、後に歴代徳川将軍から寺領十石の御朱印を賜っている。

当寺には、宗慶(運慶の兄弟弟子)作の建久7年(1196年) 9月28日銘のある、木造阿弥陀如来及両脇侍像(国指定重要文化財・写真)が奉安されている。
定印を結ぶ阿弥陀如来坐像を中尊とし、右に勢至菩薩像左に観 音菩薩像を配する。材はヒノキで、割引作りである。胎内には「平氏女」「藤原弘□」などの施主名が記され、藤原某は児玉党(武蔵七党のひとつ)の四方田弘綱 をあてる説がある。

かつては「子授け阿弥陀」とも呼ばれ、堂内の小さな阿弥陀仏を借り、これを拝むと子が授かるという信仰があった。これらの仏像は後世の修復も見られるが、良好な状態で今日まで連綿と伝えられ、慶派仏師(鎌倉時代初頭)の作風を知る上で大変貴重なものとなっている。

なお当寺周辺からは、鎌倉期の布目瓦や蔵骨器、鎌倉末期にかけての多量の板碑が出土しており、歴史の古さを物語っている。

(騎西町教育委員会)

 保寧寺の概要

宗派 臨済宗 妙心寺派
山号 東安山
寺号 保寧寺(ほねいじ)
大本山 京都花園 妙心寺
ご本尊 釈迦如来
ご開山 玉山徳旋(元徳2年・1330年)
準開山 南雄和尚(文禄元年・1592年)
住職 小崎無一
所在地 〒347-0102
埼玉県加須市日出安1286
電話番号 0480-73-1050