和尚のつぶやき

新しい命

新しい命

「坐ってなんぼ」という会があります。月一、回り持ちで、当番寺院で早朝一時間ばかtり坐って、そして帰る。といういたって簡単な会です。修行時代、どこの僧堂の老師さまも、「坐ってなんぼじゃ、座ってなんぼじゃ」と坐禅力(禅定力)の大切さを口を酸っぱくして説いておられました。鶯の鳴き声を聴きながら、昨夜の雨ですっかり洗われたミドリの空気を存分にいただいての帰路、初めて巣穴から出て来たのでしょうか、狸の赤ちゃんです。よく見えない目でヨチヨチとしています。お母さんは居ません。餌でも探しに行ったのでしょうか?はじめての世界でぜんぜん恐れる様子は有りません。可愛いですね。背中に糞でも付けているのでしょうか、ハエがいっぱいたかっています。元々臭いタヌキなのに。今は僧堂で頑張っているうちの弟子は出家前、心の迷いに悩まされて死ぬ気の逃避行ドライブ。途中、車にはねられたタヌキを拾って助手席にのせて彷徨うち、死んだタヌキの臭さに耐え兼ねて我が家に帰り着き、庭に葬ったそうです。お陰で今日の修行が転がり込みました。
死んだタヌキでさえも人を救います。このあどけない二匹のタヌキの未来に期待しながら、わいも頑張らな、と山を下りました。

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