和尚のつぶやき

縁起の法

2014-02-08 06.42.12

「空海」という本を買った。小峰弥彦氏の監修で大正大学の先生方の執筆による、読み解き辞典という副題付きである。数日まえにアマゾンから送られて来たばかりで、まだ読みきっていない。
小峰先生の序文にきらりとする一文を発見。紹介します。

 釈尊は出家した後、六年間の苦行を行った。しかし悟りは得られず、悩みを解決出来なかったため、苦行をやめた。その後、村娘のスジャータから乳粥の供養を受けて体力を回復し、菩提樹の下で静かに瞑想し、縁起の法を悟った。伝記には、なぜスジャータの話が挿入されているのだろうか? 私はここに重要な意味が秘められていると考える。なぜなら、スジャータの供養があったからこそ、スジャータが大きな縁となったからこそ、釈尊が悟りへと導かれたからである。釈尊が必死に苦行しても悟れなかった理由は、その目的が自分自身の悩みの解消に在って他を顧みることがなかったことによる。スジャータの供養は、「他者の支えがあって、自己が存在する」という縁の大切さを釈尊に示唆するものであった。言いかえれば、釈尊はスジャータの供養によって、他者との関わりの大切さに気付いたのである。釈尊は社会性に目覚めたことにより、縁起の法を悟る奇縁をえたのである・・・・・・・・・・

 読めば当たり前のようではあるが、この様にはっきりとした文章で書き表されたのは珍しいと思います。読書家でもないので、他の作家のなかに、この様にしっかりとスジャータの存在の意味を指摘した文章を、軽率ながら見ることがなかったので、今更ながら、小峰氏のこの文書に、爽やかで、スッキリとした清涼感を感じたものでした。そうだ、そうだと思いつつ、読ませていただきます。何にせ、とびきりスケールのでっかい空海さんですから、呑まれぬよう心して読みまする。皆さんにもお勧めします。読んでもないのに! と、おっしゃるかもしれませんが、損をすることはないと、断言します。なぜなら、読書は」大切だ!!。

空海 kukai
読み解き辞典
     小峰弥彦    柏書房  ¥ 3200

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