小崎和尚の法話

本山、妙心寺での話

これも、本山、妙心寺での話。

ただ今私は教区の教化主事という役目を拝命しておりまして、年一度の研修会に出席いたします。云ってみれば、僧風刷新の担い手として地方で働く一兵卒というところです。
研修会は、意義深く進行すると言うわけでもなく、どちらかと言えば与えられた時間を無難にこなしてゆく、といった感で進んでゆきます。
やがて定時となって、薬石(晩ご飯)、晩酔となります。50代を中心とした現役バリバリの諸師(?)。だいたいが花園大学の同窓、僧堂の仲間の集まりですから、あっという間に宴は盛り上がり気炎のボルテージはぐんぐん高まります。お開きと相成りますが、このままではおさまりません。徒党を組んで京都の夜にくりだすケースが多いのです。
一度ばかり、ご縁の出来た静岡の和尚と、それでは参りましょうと出かけたことがありました。京都ならではの、誠に小洒落た店で楽しんでいたのですが、しばらくの後、この現役バリバリ組がバラバラと夕立のようにやってきました。馴染みの店であるというのが彼らの態度から一目瞭然でした。年に一回の研修会の夜だけの関係ではないこと分かります。
怪気炎に近くなっておりますからもう怖いものがありません。カウンターの中に入っての狼藉です。店の関係者もさしてビックリの風もありません。こんな事はよこくあることなのでしょう。前から店で楽しんでいたお客はたまりません。つるつる頭の黒い軍団が傍若無人に振る舞うわけですから、早々にひきあげます。苦虫を噛みながら。坊さんは飲みっぷりと金の払いっぷりがいいので店の方も見て見ぬ振りというか、云ってみれば、突風か台風でもやりすごすような、そんなところのようにみうけられました。

今回の研修の終わりに法務部長の報告の一部を紹介します。
最近、本山に檀家さんを連れて本山まいりのとき、花園会館での晩酔の席で、酔った和尚さんが配膳の女性に対して、コンパニオンとでも思ったか抱きついた。しかも、檀家さんの目の前で。酒の上での無礼、人格の欠落甚だしいのが一部では見られます。という報告をされました。私は我慢が切れて一言申し上げました。
教化主事を拝命してから何年かたち、この花園会館で泊り、会議のあとの晩酔も何度目かとなりました。で私は、一度ならずこのメンバーのなかで似たようなことを目撃したことがあります。
夜の巷での、品格を欠く振る舞いもみました。どこかの地方出の酒飲み坊主の話で納めてもらっては困る。妙心寺を背負って立つべき任、真っただなかの坊さんの所行であることを反省すべきではないのか、と。法務部長はこう答えました。いかにも感慨深げに、「やっと、こういう意見をされる方が現れましたか。」と。最近、花園部長に会った時の感想はこうでした。「保寧寺さんのご意見は誠に嬉しかったです、どうぞことあるごとに云い続けてください。」と。
軽くあしらわれているようで、若い娘がよく云う「馬鹿みたい」で、かなりがっくりの研修会でした。

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