和尚のつぶやき

布薩会

スーちゃんのこと

11月10日、11日、布薩会は盛会に終わりました。座禅会の時に一人の男性の訪問がありました。この寺に田中好子さんの最後の言葉の額が有るのを友人から聞いて、見せて頂きたいとの訪問です。田中好子さんはあの有名なキャンディーズのメンバーの一人、スーちゃんのことです。彼女の最後の言葉はご存知でしょう。感動的で慈悲深い彼女の最後の言葉は今なを褪せることなく私たちの心に響いています。
どこの誰かは解りませんが、お寺に来る人たちにお伝えしたくて、墨書きして額に入れたこの作品を紹介くだっさてお礼申し上げます。坐禅中なので、これだと紹介するだけで、話をする時間もなく別れましたが、どの様に感じて帰られたか、ちょっと気になります。時同じくして神戸の友人夫婦が、座禅会に参加しました。神戸から車で被災地の現状確認と、もしできるならばボランティア活動もしたいと思いながらの旅でしたが、それも叶わず、不本意ながらの旅になったと、反省の座禅会となりました。私も震災翌月の四月の末に、震災地の海辺辺りを彷徨いたしました。慟哭するばかりで何がなんだか整理のつかない時間でした。雨の女川町、夕闇迫る七が浜、鬼気迫る圧倒的破壊力にわなわなするばかりです。寄せては返す波の音が、阿鼻叫喚の叫びとなってこの存在に問いかけます。私に出来るたった一つのこと、お経を叫ぶように唱えるばかりでした。
無力感を感じつつも、お坊さんのお経は有難いです、といわれてホッとしたのを思い出します。体を張って、自分のタレントを利用して出来るボランティアも有り難いにはちがいないけれど、忘れることなく只管、人の幸せを祈るのも忘れてはならないボランティアです。

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