スペイン巡礼

明日はサンチャゴへ

明日はサンチャゴへ

一歩の意味
 サンチャゴ巡礼の旅も明日で最終です。本来のサンジャヤン ピエード ポーからは800キロとなりますが、ブルゴスからですので大体500キロ程度です。私の一歩は70センチぐらいですから、なんと、764,285,714歩歩いたことになります。長さの実感はこの歩数からは湧きませんが、まあ、よく歩いたということです。
 正直言いまして、今、有難い。と、思うばかりです。韋駄天のように走り抜けていたあの若い頃とは思いも随分とちがいます。いろんな国のいろんな世代の、いろんな環境の人たちと、遭ったり、別れたり、又、出会ったり。不思議な時空空間のサンチャゴ巡礼でした。追い抜いて、追い抜かされて、僅かな歩き話の中に、その人の人生が、透き通るように見える人や、さっぱり皆目分からぬ人と出会ったり、人生の不思議さを垣間見ながらの巡礼です。後退しない人生の実感を、今、感じています。一歩一歩の実感です。この一歩は、間違いの無い一歩です。いわゆる一歩は、前に進んでいる一歩です。
 私たちは、余程の理由でもない限り後ろに進むことはありません。70センチの一歩は、心の一歩でもあるのです。身体の一歩と心の一歩が、同時となった時、禅の世界では悟りと言ったりしますが、そんな世界は何処でもあることで、難しい世界ではありません。禅語に、日々是好日とありまが、私の師事した先生は、「日々是好日に非らず日々 只 日々」と言っておられました。私は気に入っています。
 サンチャゴ巡礼の旅は、いわゆる、赦しの旅です。神様に己の暃(ひ)を詫びるのです。「平気で嘘をつく人」という名著がありますが、自分は神の前で善人と言う嘘に気づくひと、神のミモトに絶対弱者となれる人、その人こそ、強き人であると。
 サンチャゴ巡礼の前夜をちょっと好いワインで祝いました。野菜スープとホットレモンで過ごしてきたので、ビーフステーキを注文しました。硬くてなかなか口の中に入っていきません。カミーノ デ サンチャゴの最終日だから、もっと、噛みーの、と言われて、ようよう飲み込みました。食べるのは、疲れます。

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