和尚のつぶやき

いのちの詩


樹木の瘤をさする時
深い深い重さがある
遠い遠いかなしみが伝わって来る
きびしい風雪に耐え
謙虚に
勝利を口ずさみ
内部の傷をいやし続けた瘤
瘤は傷痕
だが
美しい
ほかのどの木より
瘤の多いお前の外観はひときわ目立つ
傷つけられても傷つけられても
いやし続けたお前の
無限に優しい存在のわびしさは
私を魅惑する
ああ
その背伸びしない
安定の美しさに
私のすべてをあずけて眠りたい

命の詩  塔 和子詩選集の中の「瘤」です。
塔和子さんは15歳の時、ハンセン病発病し瀬戸内海の小島の青松園と言う療養所で半世紀を超える生活の後、八拾有余年の一生の終えています。ハンセン病の烙印のごの療養という名の地獄にも等しい精神の葛藤の中から生まれた鋭いいのちの讃歌に感動し頭を垂れるのは、私ばかりではありますまい。掲載のこの詩集は絶版となって、入手は困難ですが、図書館では見つけることは出来るでしょう。他の詩集は、amazonから入手可能です。

ページの先頭へ